難少女は魔女の掌でオドる 後日談

後日談 魔女の心残りと二人のカンケイ

 ――それは、長い様で短かった夏休みの終わりも間近な、日曜日の昼下がりのこと。

どんっっ

「…………ッッ?!」
 と、実際に聞こえたわけではないものの、紅茶が注がれたポットやペアデザインのグラス、それと手土産の焼菓子を盛った小皿を盛りつけたお盆を手に自室まで戻ってきたわたしの目の前で両手を床に揃えるヘンタイ魔女の背中の辺りからは、何やらそんな擬音が見えた気がした。
「…………」
「……んで、ナニやってんのよアンタは?」
 というか、入り口前ですごく邪魔なんですけど。
「ええと、見て分からへん?」
「わたしが分からないのは、なんでいきなりそんなマネしてんのかってコト」
 謝罪のイミで土下座される心当たりなんて、まぁこれまでを考えればいくらでもあるとしても水に流してあげているし、卑屈さというよりは気迫すら感じるその佇まいは、おそらく頼みごとがある方なのだろう。
 もちろん、わたしとしては嫌な予感しかしないとして。
「いやな、もう来週から新学期やん?」
「うん」
「となると、うちもそろそろ戻らなあかん時が来たってことになるよなぁ?」
「……まぁ、そういう約束だしね?」
 というか、あれからこうやってホントに夏休み終了ギリギリまで居座っているとは思わなかったけれど、何だかんだで詰草ちゃんの実況配信に付き合う時以外は、殆ど毎日の様にこの千歳と顔を合わせていた気がする。
「せ・や・か・ら、今日がラストチャンスだと思うんよ?」
「ラストチャンスって、まだ千歳にしてあげていないコトなんてあったっけ?」
 どさくさの勢いでファースト・キスはくれてやったし、もう当たり前にパンツくらいは見られているし、もう少々セクハラされたくらいじゃ動じなくなくもなってきたしで、一体これ以上わたしに何をのぞ……。
「つまり、夏の思い出の締めくくりに、風音ちゃんの〇×△□見せてくれへん?!」
「…………ッッ」
 しかし、続けて顔を上げた千歳から火の玉ストレートの如き要求を真っ向から投げつけられ、一瞬で顔が燃えるように熱くなって脳みそが沸騰するのと同時に、衝動的に片足を上げかけたところでどうにか堪えるわたし。
「……後生やから、これこの通り……!」
(な、ななななな……)
 確かに、今日は玄関から何やらそわそわと落ち着かない様子は見せてたけれど、なんという野心を秘めて訪れてきやがったていたのか。
 これが、お盆を持ったままじゃなかったら、その頭上に合わせた両手の隙間から問答無用で頭を踏み付けてやっていたトコである。
「ちょっ、いきなりナニ言い出すのかと思ったら、一体なんだってのよ……?」
「だってなー、夏休み終わって戻ってしもうたらもう二度と会えなくなるかもしらんやろ?」
「いやまぁ、それはそうかもしれないけど……」
 というか、本来はこうして接点を持っちゃいけなかったはずの二人なのだから。
「せやから、未練や心残りは出来るだけ抱えたくないんよ。……なぁ?」
「むぅぅ……」
 んで、そう言われてしまえば、わたしとしても邪険にはしにくくはなるものの……。
「ってコトで、あとの心残り言うたらな、風音ちゃんの生まれたままの姿、特に一番恥ずかしいトコロをしっかり目に焼き付けて帰りたいな、思うて。……あ、撮影させろとまで言わへんから安心してええよ?」
「…………」
 ただ、もっともらしい言い分の様で、要求がサイテーすぎる……。
「ってコトで、恥を忍んでこれこの通り……!」
「……いや、アンタに恥って感情あったというのが驚きなんですけど」
 ぶっちゃけ、恥を知りなさいなんて今さら言うのも間抜けすぎる気がして言葉が止まったくらいなのに。
「ヒドいなぁ。けど、うちも首を縦に振ってくれるまではここをうごか……」
 ともあれ、千歳の方は不退転の決意なのは分かったものの……。
「……はいはい、ちょっと跨ぐわよ〜?」
 一方で、だんだんといつものノリに戻ってゆく中で落ち着いてきたわたしは、すぐに手慣れた口調でであしらいつつ、大股で千歳を避けてテーブルへお盆を運んでいった。
 とりあえず、このまま突っ立っていてもポットの中の氷が全部溶けてしまいそうだし。
「ああんもう、風音ちゃんがつれへん……かわいいパンツは見えたけど」
「ひと言多い……!いやさ、なんていうかムードってもんがあるでしょ?そーいうのは」
 たとえば、向こうの世界で千歳の家にお泊りした夜なんかは、わたしも一度は覚悟を決めた空気になったりしたものの、今はあの時と状況が近い様でも空気感が違いすぎる。
「ムードなぁ……」
「……大体さ、これが最後かもとか言いつつ、アンタならまたどうにかしてまた来る気なんだろうな、としか思ってないし」
 それこそ、どんな口実やら手段を使おうと。
「まぁ、そうなんやけどね〜。んっと……」
「うわ、あっさり認めてるし……」
 しかも、こっちがテーブルの上にお茶のセッティングしたのに合わせて、何事もなかったかの様に身体を起こして寄ってきてたりして。
(ったく……)
 ただ、困ったコトにこういう素で漫才でもしている様なカンケイは、いつも慈愛の心で包み込んでくれるタイプな詰草ちゃんとはまた違った楽しさを感じさせられて嫌いじゃなかったりする。
「…………」
 ……なので、この週末で毎日の様にこんなやり取りを続けていた二人の夏が終わってひと区切りを迎えてしまうと思えば、わたしの方だって寂しくないわけでもない。
 けど……。

「……でもな〜、やっぱり見たいもんは見たいんよ?」
「まだそのハナシ引っ張るんだ……。も〜そんなに見たいなら“一ノ葉さん”を口説き落として頼みなさいよ」
 それから、キンキンに冷えて結露しているティーポットに満たしておいた、千歳の好きな銘柄のアイスティーを注いだ後で、まずは二人で軽くグラスを重ね合わせて喉を潤したかと思えばまたすぐに話を蒸し返してるヘンタイ魔女さんへ、苦笑い交じりに矛先を変えてやるわたし。
 体型は微妙に違うとしても、双子よりも近い存在なんだから大きな違いは無いだろうし、元々の本命はそっちだったでしょーに。
「ん〜、あのコに頼む方がムズかしい気もするし、なにより風音ちゃんのが見たいんよ!」
「見たいんよって……」
 一ノ葉さんよりもわたしの方がチョロいと見られていそうなのも引っかかるとして、そんなグラスを握りしめて力説しなくても。
(……というか、もしも気まぐれでOKしてやったら、一体どうするつもりなんだろ?)
 問答無用で襲いかかってきそうな勢いながら、何だかんだで肝心なところでヘタれてしまうタイプなのは分かっているので、「では早速……!」になるのかと言われてもピンとこない。
「ホントは、間近で奥まで広げて見せて欲しいんやけど、どうしてもムリならちらっと見せてくれるだけもな?な?」
(あー、もうしつこいウザい……っっ)
 ……だったら、そろそろ逆に反撃の一歩を踏み込んでやった方が、しつこいヘンタイ魔女を黙らせられるかも?
「…………」
 なんか、こういう“攻防”も久しぶりって感じだけど、まぁこれも今日でやり納めかもしれないし。
「風音ちゃん……?」
「……ふーん、そんなに見たいんだ?」
 ともあれ、このまま卑猥な要求を好き勝手言わせてやるのも癪に障ってきたわたしは、少しの間を取った後で態度を一転させて挑発する様な笑みを向けると、ちらりとスカートの裾を捲くって見せてやる。
「…………っ、そ、そう、やけど……」
「ん〜、どうしよっかなー?まぁ、千歳になら絶対ムリとまでは言わないけどさぁ」
 すると、千歳の奴は案の定ごくりと喉を鳴らして凝視しつつも、こちらが前に出た分だけ一歩退いた曖昧な態度とセリフを返してきたのを見て、更に相手の目の前で足を組み替えながら思わせぶりに続けるわたし。
(よしよし、効いてる効いてる……)
 さすがにここまで幾度となく火花を散らした強敵(とも)だけに、軍師さんの助言無しでもこのくらいは読めるようになってきているわけで。
「ほ、ほんまに?……というか、風音ちゃん急にどうしたん?」
「どうしたんはこっちのセリフでしょ?お茶の用意して戻ってきたら、いきなり土下座しながら通報されても文句言えない要求してきて、ほんっっとに生き来てて恥ずかしくないの?って変態さんなんだから……」
 そして、食い付きつつも当惑を隠せない様子を見せるヘンタイ魔女さんの反応にしてやったりみを覚えたわたしは、続けた罵り言葉の棘を増しつつ、半分は誘惑するくらいのつもりで前かがみに囁きかけてやった。
「ご、ゴメンなぁ……というか、まぁそれは自覚しとるんやけど……」
「へぇ、自覚してたんだ……?んで、それでも臆面なく欲望をぶつけてくるなんてさぁ、一体わたしのコトを何だと思ってるのかしらねー、千歳?」
 というか、咄嗟の思いつきな割に思ったより饒舌に動けているのは自分でもちょっと困惑気味だったりするものの……。
「え、えっと、それは……」
「あによ、ハッキリしなくなったじゃない?さっきまでの勢いはどこ行ったの?」
 ……でも、ちょっぴり楽しくなってきたかもしれない。
 と、今度は着ているシャツの首回りを摘まんでぱたぱたと空気を入れる様な仕草を見せて、水色のブラをチラ付かせてやるわたし。
 こういう時に、お気に入りを着けていたというのも何やら数奇な巡り合わせだけど。
「…………っ」
「……ね、こっちだって見たいんでしょ?何だかんだでまだ見せたことなかったし」
 そういえば、一緒に銭湯に行きたがってたけどずっと断ってたっけ。
 ……結局、そうやって鬱憤を溜めてしまったのが今日の土下座に繋がったのかもしれないけれど。
(…………)
「み、見せてくれるん……?」
「もう、話がループしかけてるってば。見せての一言だけで応じてもらえるのはムシが良すぎじゃない?ってハナシなんだけど、興奮しすぎて知性までダダ下がってきてるの?」
 と、何やらだんだんと情が芽生えてきてしまっているのに危うさを覚えたわたしは、ここで一旦冷静になろうと素っ気ない言葉を返してやる。
 楽しくなってきたとはいっても、油断していたらあっという間にミイラ取りがミイラになっていそうだし。
「んじゃ、何を差し出したらええの……?うちの方は、この際どんな代償でも払うカクゴはあるけど?」
「え、いやえっと……」
 しかし、墓穴を掘ってしまう前に話を進めようとしたものの、わたしの言葉に迫真の目つきで身を乗り出してきた千歳から躊躇う様子も無しで何でも差し出すと言われ、今度はこちらが一歩引く羽目になってしまう。
「……ナンでも言うてくれてええんよ?まぁ両目を潰せってのは見えなくなるから堪忍やけど」
「言わないわよ……ッッ!」
 いきなり物騒過ぎる……というか、思わず素に戻りかけてしまったし。
「それじゃ、うちの全財産を……というても、正確には向こうのうちのお金やしなぁ」
「……いやいや、だからってそこまでする程のモンでもないでしょーが」
 すると、今度は今度でまた極端なコトばかり口走られ、とうとう苦笑いも零れさせられてしまう。
(というか、そういうコトじゃないんだけどなぁ……)
 こちらの目当ては対価云々じゃなくて諦めさせることなのに、なにやらハナシがややこしい雲行きになってきている感が……。
「うちにとっては、そこまでする程のものやけど?」
「ッッ、だから、真顔でそーいうコト言わない。……というか、最後はオカネで何とかしてやろうなんて、ホント見下げ果てた変態……いや犯罪者よね。まったく、“一ノ葉さん”が聞いたらなんて思うやら?」
 ともあれ、こんなあっさりと元の木阿弥になるわけにはいかない。
 全財産を投げ打ってもいいとまで言われたのは少し刺さってしまったものの、感情は押さえつつ気を取り直して再び前に出るわたし。
「そ、それは言わんといて……ただでさえ向こうのうちから抜け駆けずるいって怒られたと聞いとるし」
「そーでしょそうでしょ、一ノ葉さんに怒られ……ん?」
 抜け駆けで、おこ……?
「けどな?だからこそ、それを乗り越えても今日は風音ちゃんの全てを目に焼き付けて帰りたいんよ……!」
 しかし、再び上から目線で罵ってやるも、予想通りに困惑した顔は見せつつ何やら引っ掛かりを覚える返事に言葉が止まるや、そのスキに改めて決意を漲らせたヘンタイ魔女に迫られてしまった。
(うーん、今日の千歳は手強すぎる……)
 伊達に土下座なんてキメていないというか、まさに不退転の決意っていうのはこういうのを言うんだろうって感じで。
(けど、まだまだ……!)
 だったら、こっちも背水の陣の意気込みで受けて立ってやるまで……!
「……ん〜でもさ、わたしは別に千歳からオカネなんて受け取りたくないし、いつかの時みたく切実にして欲しいコトがあるワケでもないのよね?」
 そこで、わたしの方もとことん抗ってやるつもりになると、仕切り直しとして肩を竦めつつ、改めて挑発の笑みを浮かべて冷たくあしらってやった。
 お生憎なことに、ここはわたしの本来いるべき世界で、今はこちらが優位な立場のハズなのだから。
「そっかぁ……結局、風音ちゃんには借りを作ってばっかりなんよねぇ、うち」
「っっ、……ただ、それでも諦めろと突き放したって素直に頷くつもりはないんでしょ?なら、わたしも千歳と初めて逢った日に言われたコトをここで返してあげるわ」
 しかし、そこから急にしんみりとしたセリフを向けられていきなり態勢を崩されかけるも、何とか踏み堪えつつドヤ顔で告げてやる。
「つまり、ここから風音ちゃんをその気にさせろと……?」
「ん。デキるものなら、ね……?」
 すると、ココでそれを持ってくる?といった表情で顔を上げるヘンタイ魔女に、今度はワザと短めのスカートを軽く引っ張りつつ、してやったりの短い言葉を返すわたし。
「…………っ」
 一応、絶対にムリとまで言わないとは既に伝えているし、もちろん嘘をついてるつもりはないとして、残り時間を考えればどう考えても無理難題なのは明らかながら、千歳に文句を言い返す資格なぞ無いのは本人も自覚しているみたいで、とうとう進退窮まった感情を顔色に表してくる。
(そうそう、そのカオが見たかった……!)
 と、いうつもりでもないものの、しつこく食い下がってくる相手から追い込まれかけながらもここまで綺麗に因果応報カウンターが決まれば、なかなか痛快だった。
 ……なにせ、これは初めて逢った夜の公園で千歳が何も知らないわたしへ仕掛けたブラフそのものなのだから。
(いやー、わたしもそろそろ一端の策士と言える頃になってきてるかな……?)
 あちらの詰草軍師に後で報告したらホメて貰えるだろうか?なんて。
「…………」
「まぁまぁ、そんな思いつめなくても、“約束”として覚えておいてはあげるから」
 そして、絶望感と言えば大袈裟だけど意気消沈する千歳へ、勝者の笑みを浮かべつつ半分は追い討ちになってるかもしれないフォローを同情気味に入れてやるわたし。
 これまでの因果も重なってこういう結果になったけれど、先の話まではわたしも分からないし、否定するつもりもないのだから。
(ってトコで、どうかな……?)
 うん、我ながらいい感じに保留させられた……。
「風音ちゃん……!」
「…………ッッ?!」
 と、相手がすっかりと無言で黙り込んでしまったのを見て心の中で勝利宣言が始まりかけるも、やがて千歳は唐突に顔を上げてわたしの足下へと覆い被さってきた。
「ちょっ、結局最後は力づく……?!さすがにホンキで嫌いになるわよ……っっ」
「……もちろん、力づくに訴えるくらいならうちだって諦めるけど、まだ少しだけ時間はあるんよな?」
「そりゃまぁ夕方くらいまでは誰も帰らないだろうから……で、一体どーするつもりなのよ?」
 わたしの方はもうすっかり気持ち的には完結してしまって、あとはお土産にもらった好物のお菓子とお茶をお供に楽しくお喋りしていたい心境になっているので、ここから盛り返すのは難しいと思うんだけど。
「もちろん、こうするんよ?」
 すると、追いつめられたヘンタイ魔女はするすると手際よく右足の靴下を脱がせてきたかと思うと、わたしの裸足を愛おしそうに頬ずりしてきた後で……。
「え、ちょっ、こら……って……」
 まさか……。
「言葉で伝わらへんのなら、やっぱりこうするしかないんよね?……ん……っ」
「…………っっ?!」
 土下座の次は、まさか足でも舐めますとでも?と言いかける前に、千歳は躊躇いなく汗で蒸れているわたしの足の親指へ口づけし、更に柔らかい舌まで這わせてきたりして。
「や、やめなさいってば、そんなトコ、きたな……んぁっ」
「ううん、うちは全然平気やから……ほら、ココとか……」
「〜〜〜〜っっ」
 もちろん、わたしはすぐに止めようとしたものの、千歳は両手でがっしりと固定したまま、更に指の間へ舌を這わせると、そこから鳥肌が立つような刺激が伝わってきた。
(ちょっ、ホントに舐めてくるなんて……!)
 こんなコトされて、ホントにわたしが喜ぶとでも……?
「ん……っ、どうかな……?」
「どうかなって言われても……」
 とにかく、色んなイミでくすぐったいというか、困惑しかないんですけど……。
「…………っ」
(でも、なんだろう……?)
 それでも、気持ち悪いだけかといわれれば、不快と快感がせめぎ合ってる様な不思議な感覚で、一心不乱に続けられて刺激に慣れてゆくうちに、後者の方が増している気もしないでもない様な。
「…………」
「んふっ、案外まんざらでもないかなって思ってへん?」
「いやまぁ、確かに妙な気分にはなってきたけどさ……」
 それから、親指への口づけから始まって小指まで到達した後で、ようやく顔を上げた千歳から感想を訊ねられ、そのままムリに振りほどいたりすることもせず正直に返すわたし。
「ふぅん、やっぱり最初からこうすべきやったんやなぁ?」
「っっ、けど、この程度でオトしたなんて勘違いしないでよね……っ」
 そこで、手応えを感じた様子でニヤニヤしてくるヘンタイ魔女へ、わたしはすぐに顔を背けつつツンデレじみた反発を重ねてやる。
 確かに言葉よりは響いたかもしれないけれど、それにしたってパワープレイが過ぎて、それはそれで反発心も芽生えてしまっているワケで。
「そっかぁ……んじゃ、こういうのはどう?」
 すると、千歳はさして落胆する様子も見せず、今度は指から足の甲へと口付けすると、今までとは違った感触が伝わってきた。
「ん……っ?」
 その刺激自体は微弱なものだけど、ぶっちゃけされる方も焦ってしまう指の間よりも落ち着いて受け入れられて、しかもこちらは服従というよりは愛情表現にも感じられたりして。
(というか、順番が逆じゃないの?……いいけど)
「…………」
 それから、わたしが特に抵抗もしないのをいいことに、千歳の口元は続いて足首、更に脛から膝へと上がってゆく。
「…………っ」
(ううっ、なんかむず痒い……でも……)
 感想を聞かれたら、まずはそんな言葉が口から出ると思うけど、ただ案外悪くないとも思えてきた、かもししれない。
「……実はな、風音ちゃん。爪先と足の甲と脛への口付けって、それぞれ崇拝、隷属、服従の意志を示すというイミがあるんよ。知っとった?」
「知るわけないでしょ……というか、表現が大袈裟すぎる……」
 むしろ、そういう行為を受けるのはわたしなんかよりも、見た目だけは完璧な目の前のヘンタイ魔女さんの方がよっぽど似合うと思うし。
 ……ただ逆に、それほどの美人さんの千歳にこんなマネされているというのが、余計に心臓や背筋に響いているのかもだけど。
「自分にそれだけの価値があるかどうかを決めるのは相手の方やよ、風音ちゃん?」
 すると、差し出す格好になっている足を小刻みに震わせつつ苦笑いを浮かべるわたしへ、まるで見透かしたかの様に千歳はそう続けると、今度は腿の内側へ口付けして……。
「…………っ」
 更に、そこから再び伸ばした舌先を付け根へ向けてゆっくりと這わせてゆく。
「あぅ……ぅっ」
 それは、すごく恥ずかしくすぐったい感触なんだけど……。
(でも千歳の舌、柔らかいな……)
 慣れてきたせいもあるのか、何だかんだで千歳だからイヤじゃない気持ちがあるからか、不快感は感じなくなってきていて、むしろこんな調子でイロイロと敏感な部分を攻められたりしたら……。
(イヤイヤイヤ……)
 まてまて、このタイミングで一体何を考えているんだ、わたしは。
 それじゃ完全にヘンタイ魔女の思うツボなのに。
(でも……)
 だんだんと、わたしの頭の片隅に、ちょっとだけ味わってみたいかもという気持ちが芽生え……。
「……って、これ以上はダメ……!」
 しかし、それでも最後は何とか理性が勝ったわたしは、舌先が腿の付け根へ迫ろうとしたところでようやく千歳の頭を押さえて止めた。
「……っっ、ん〜、これでもまだ仕込が足りんかったかぁ……」
「そ、そんなにすんなりといくワケないでしょ……?!ほら、離れなさい……っ」
 それから、不発に終わって残念そうにぼやきつつ、鼻先が届く寸前まで近付いてた下着をじっと眺めてくるヘンタイ魔女を引き剥がしにかかるわたし。
(……あ、危なかったぁ……)
 一応、強がってみせた言葉とは裏腹に、今のは結構紙一重だった気はする。
「も〜強情なんやから。……というでも、それでこそうちの風音ちゃんやもんな?」
「そういう言われ方は余計に恥ずかしくなるからやめて……ちなみに、腿は何の意志だったのよ?」
「ふふ、今はナイショにしとくから、気になるなら後で調べたらええよ」
 ともあれ、一旦危機を脱した後で崇拝、隷属、服従の続きってのが気になったんで尋ねてみるも、千歳はニヤニヤとしながら即答を避けてしまった。
「え〜、思わせぶりに何なのよ……」
 そう言われると、ますます気にはなってくるものの……。
「……せやけど、これでもダメならもう残るはアレしかないかなぁ?」
「な、なによ……?」
 しかし、続けてめげる様子もなくじっと見据えてくるヘンタイ魔女の視線を受けて、猛烈にイヤな予感が走ってくるわたし。
 どうやら、まだ全然諦めちゃいない様子だけど……。
「んじゃ風音ちゃん、今度はちょっとお尻向けてくれる?」
「な、ななな、なんでよ……?!」
 それから、身構えたわたしへ向けられたのは、理解がすぐに追いつかなかった要求だった。
「いや、土下座して足の指まで舐めたのに届かなかったから、あとはもうお尻にキスでもするしかないかなって」
「ちょっ、いくらなんでもそれは……」
 というか、そういうのはこちらの方から命令されて強いられるコトで、させられる側が要求するものじゃない気が……。
「ご家族が帰ってくるまでに自分をその気にさせろと挑発してきたのは風音ちゃんやんな?だったら、最後までうちの挑戦を受けてくれへんと」
「そ、そこまで言ってないと思うんですけどね……?(提起)」
 確かにウソだとまで言えないかもしれないけれど、何やら都合よく外堀を埋められてしまってる様な……。
(……あれ、もしかしてどこかでしくじってしまってた、わたし……?)
 と、いまさら気付いても後の祭りかもしれないものの……。
「まぁまぁ、これでダメだったらうちも万事休すやから」
「はぁ……もう、しょーがないわね……」
 結局、これが最後というのならばと、千歳の「これでダメなら」という言葉に縋って受け入れてやるわたし。
(おかしい……途中までは押していたハズなのに……)
 それが気付けば、すっかり追い込まれてしまってる感じで、マイ軍師が聞けば無様だねと笑われるだろうか?
「……じゃあ、こっちまで来なさいよ……」
 ともあれ、わたしは渋々ながらも観念するや、グラスなどが乗ってるテーブル近くを避けてベッドの端まで移動した後で、シーツの上に膝を並べて乗せて千歳の前へ控えめにお尻を向けてやった。
「おほ、ええ眺めやわぁ〜、風音ちゃんってお尻もカワイイんよな♪」
「い、いちいち言わなくていいから……!やるならとっととやんなさいよ」
 ……というか、これから千歳がわたしに対して最大限の服従を示す行為をするはずなのに、なんだか立場はまるで逆というか、心境的には敵に捕まってくっころ状態の姫騎士に近いような……。
「ふふ、それじゃお言葉に甘えて遠慮なく」
「ちょぉ……っ?!」
 しかも、思考が脱線する間もなく、こちらの言葉に応じた千歳から躊躇いなくスカートを捲り上げられ、慌てて首を振り返らせるわたし。
 一応、顔を埋めて頬ずりされる程度は想定していたけど、てっきり服の上だと思ってたのにっ?!
「んー、どしたん?」
「どしたんって……んひ……っ?!」
 しかし、ヘンタイ魔女の方はまるでこちらの反応にきょとんとした様子で軽く流すと、更に剥き出しになった下着の上から指先で感触を確かめるようになぞらせてくる。
「ちょっ、こら、なにやってんの……っっ」
「なにって、服従の意思表示やけど?ほら、風音ちゃんのお尻の前に跪いとるしな」
「ええい、どこが服従してんのよどこが……って、いつまで触って……っっ」
 やっぱり、どっちかと言えば囚われの姫騎士をなぶりものにしようとしてるスケベな尋問官って感じの方が強いんですけど……?!
(ふぅ、甘い、甘すぎるよ風音ちゃん……)
 ……しかも、ここで詰草軍師のため息交じりの声が頭の中で聞こえた気がするし。
「まぁまぁ、けど風音ちゃんのお尻は服の上からはもう何度も触らせてもろうとるけど、一枚剥がすだけで全然違う感じやよね〜」
「…………っ」
「ふふ、指を這わせるたびにピクピク震わせて……やっぱり風音ちゃんってお尻も感じるコなん?」
「うう……っ、アンタの手つきがイヤらしいだけ……でしょ……っ」
 好き勝手なコト言われてむかっ腹は立つつものの、確かにわたしの方もスカートの上からと下着ごしで触れられる刺激は全然別物だった。
 夏服の薄い生地一枚ごしの差しかないというのに、触れられてる実感が段違いだからだろうか。
「もう、そんな反応見せられたら、うちヘンな気分になってしまいそうなんやけど……」
「あ、アンタは年中発情してるでしょーが、このヘンタ……んくっ……っっ」
 そして何より、心臓の動機が一気に激しくなってきてるし……。
(……これで、直接触れられたりなんかしたら……)
 ダメ、またイケない方向に思考が……。
「っとと、いつまでも触っていられそうやけど、そろそろ本題に入らんとな……?」
「い、いいからさっさと……んぁ……っっ」
 ともあれ、そんな中で擽るように指先で円を描いていたヘンタイ魔女がようやく思い出した様にそう呟いてきたかと思うと、今度は下着越しで左のお尻の頬へ生暖かい感触が触れてきた。
「…………っ」
 ものの……。
「…………」
「…………」
「……どう?うちの気持ちは伝わった……?」
「ん……。やっぱり恥ずかしいしくすぐったいけど、我慢できない程でもないかな?」
 やがて、しばらく口付けを続けた後に一旦顔を離して尋ねてきた千歳へ、肩透かし感を受けたまま素っ気なく答えてやるわたし。
 先に指で散々弄ばれてくすぐったい思いをさせられた分だけ、本命の行為を受けた時の刺激がすっかり薄れてしまったというか。
「ガマンて、そういう勝負やったっけ……?」
「というか、これならまださっきの方が全然効いてたかも。おあいにくさまだけど」
 むしろ、あのまま指先で弄られ続けてた方がよっぽどヤバかった気がするし、それを急に中断してキスされても逆に落ち着いてしまったのは皮肉というべきかもしれない。
「んんん〜〜っっ……今度はちょっと遊び過ぎたかぁ……」
(ったく、余計なコトしてるから墓穴を掘ったわね?)
 そんなワケで、わたしとしても少しばかりモヤモヤは残るものの、ともかく千歳の自爆で万事休――。
「なるほどなぁ。……となれば、やっぱり”直接”じゃなきゃあかんってコトよな?」
「へ……?」
 すと思いきや、千歳はまたも特に落胆する素振りも見せずというか、むしろ意気揚々とそう続けてきたかと思うと……。
「ちょ……っ?!」
 わたしが一体ナニをする気だと尋ねる前に、腰へ手を伸ばしてきたヘンタイ魔女に今度はショーツまでずり下げられてしまった。
「うほぅ、風音ちゃんのナマ尻……!」
「こっ、コラぁっ、誰がそこまでしていいと……」
「……だって、もうこうでもせんと届かんのやろ?ん……?」
「んぁ……っっ」
 これはさすがにわたしも想定外と一瞬で顔が沸騰しかけて身体を起こそうとしたものの、千歳は両手でがっしりと腰を押さえつけてくると、剥き出しにされた尻肉に直接口づけした後で、更に割れ目にそって舌を這わせてきた。
「ひ……っ?!……そ、そこは……あぅっ……」
「んふ……ぅっ、な……これでもまだ伝わらん……?」
「……っ、そ、それは……」
 それから、魔女の舌先が谷間の入り口を何度もイヤらしい舌使いで往復させつつ再び訊ねられ、言葉に詰まるわたし。
「…………っっ」
 さすがに潮時がきてしまったというか、ここで大人しく認めてしまった方が怪我が少ない。
 もう、ここまできたら千歳は絶対に止まらないだろうと、それはわたしの直感も告げている。
「なぁ、風音ちゃんどうなん……?」
「…………」
 告げてるけど……。
「だ、誰が……っっ」
 しかし、少しの沈黙の後で心臓をバクバクさせながらわたしの口から出たのは、それを裏切る言葉だった。
「……そっか……だったら……」
「…………っっ」
 ぶっちゃけ、どうしてそんな選択をしたのか自分でも半分信じられない気持ちはあるものの、それを聞いた千歳は静かに呼応して呟き返すと、予想通りに這わせていた舌を一旦離した後に、掴んだ両手でゆっくりとお尻の谷間を掻き分けてきて……。
(あ、ああ……っっ)
「か、風音ちゃん……ほんまに降参しないんよね……?」
(……み、見られてる……千歳に……)
 相手が土下座までして見たがっているモノと同じかそれ以上に恥ずかしい部分を露にされ、吹きかかってくるくらいに鼻息を荒くさせるヘンタイ魔女に対して、唇をかみ締めつつ沈黙で答えるわたし。
 さすがに、自分の意地っ張りに呆れてきているのもあるけれど、芽生えてきてるもう一つの感情だけは表に出すワケにはいかないから。
「ふふ、可愛らしくヒクヒクさせて……もしかして、少々加減を間違えたんかなぁ、うち……?」
「ば……っ?!」
 すると、そんな心を見透かしたかの様な羞恥を煽る言葉を続けられ、わたしは無意識に反発しようとするものの……。
「なぁ、風音ちゃん……うち、やっぱり”風音ちゃん”が好きみたいなんよ?……だから……」
「ちょっ、いきなりなに告白してきて……んひぃ……っ?!」
 千歳の奴はよりによってこのタイミングで愛を囁いてきた後で、そのまま躊躇いなくお尻の谷間の奥にある窪みへ舌先を這わせると、わたしの背筋に今までで味わったことのない強い刺激が駆けめぐった。
「うそ……ホントに舐めて……あ、ああああ……っっ」
「あは……そう、舐めとるよ……風音ちゃんの恥ずかしいトコ……ん……っ」
「あひっ、ら、らめ……そんなトコ、きたな……ひからぁ……っ!」
「ううん、風音ちゃんのやったらうちは全然平気……んん……」
「はぁぁ……っ、あ……ちょっ……ぁぁぁ……っっ」
(ホントに……ホントにおしりの穴まで……舐りまわされてる……っ)
 しかも、全く躊躇いのない舌使いで……それこそ貪るように。
「く……っ、ちとせ……そんなはげし……んんぁ……っっ!」
 それは、恥ずかしいやら信じられないやら、また相手の本気が伝わってきてある意味嬉しさも混じった様なフクザツな心地で、またくすぐったさを凝縮した様な想像以上の刺激は頭の中を真っ白にもしようとしてきて、わたしはただ為すすべなく穿り回してくる千歳の生暖かくてヌメヌメとした舌先を受け入れていた。
「んっ、はぁ……っ、うち、ずっと風音ちゃんにこういうコトしたかったんよ……おいし……」
「ば……っ、ホント……どうしようもない……ヘンタイなんだから……んぁぁっ」
 ……けど、最後はそれを分かっててわたしも退かずに挑発してしまったわけで。
 つまり、このわたしも千歳と同じく……。
(…………っっ)
 そして、そんな自覚が芽生えると同時に、下腹部の辺りがじゅんとアツくなるのを感じるわたし。
「って、ちょ……っっ、ちとせのひた……はいってきて……らめ……っっ」
 しかも、ヘンタイな愛しの魔女の一心不乱な舌使いはさらに激しさを増して、舌先でこじ開けようともしてきていて……。
「んふっ……気持ち……ええやろ?」
「……うぁ……っ、ああぅ……っ」
(あぅ……っ、ホントにだめ……これ以上は……)
 もう、後戻りできなくなってしまうかもしれない。
 ……けど……。
「はぁ……はぁ……ち、ちとせぇ……」
「んっ……なぁ、風音ちゃん……そろそろ、ええよね……?」
「…………っっ」
 やがて、唾液でべとべとにされるまで穿られてすっかりと抵抗力も失った頃合いで千歳から問いかけられ、今度こそ言葉に詰まるわたし。
 ぶっちゃけ、今の状態で見られてしまうのは、最初におとなしく見せてあげておいた方がマシだったかも状態ではあるんだけど……。
「…………」
「……い、いいわよ……けど……」
 それでも、ここでダメと言ってしまった後が想像できなくなってしまったわたしは、とうとう観念して条件付きで頷いてやる。
「けど……?」
「よ、余計なコトは言うんじゃないわよ……いいわね?」
「ふふ……もちろん、すべては風音ちゃんの思い通りやんなぁ?」
「……どこがなのよ、もう……」
 いや、確かに今日の千歳はそうなのかもしれないけど、わたしの方が自爆を繰り返してるだけ、か。
(ほんと、ブザマだなぁ、わたし……)
 ついでに、それでも今は悔しくなくなってきてるのも悔しいし。

「……ほら、み、見たいなら勝手に脱がせなさいよ……」
 それから、千歳がいったん離れた後でわたしも身を起こしてベッドの上へ腰を下ろすと、ミニスカートの裾を手に捲り上げ、腿の付け根まで中途半端に下ろされていたショーツを脱がせるように促すわたし。
 恥ずかしさ紛れにセリフ周りのツンデレ度合いが更に増してるのがよけいに恥ずかしくなって、もうワケ分からなくなってきているけれど、既にわたしはまな板の鯉も同然なのだから。
「はぁ……やっっとこの時が来たんやなぁ……でも、こんな半脱ぎの状態もなかなか……」
「いいから、さっさとひとおもいにやりなさいっての……!」
「もう、風音ちゃんったらせっかちなんやから……そんなうちに恥ずかしいトコ見られたいん?なんて、ふふ」
「〜〜〜〜っっ」
 そして対する千歳は、苦労がようやく報われた感慨に浸りつつ、口は減らないながらもわたしの気が変わらないうちにと、すぐに下着の両端へ指をかけて一気に引き下ろし……。
(…………っっ)
 やがて、脱がせた下着が片足から外された後で、真顔になる千歳の手で腿の内側からゆっくりと広げられてゆくのを無言で受け入れてゆく。
「ほほぅ……小ぶりで綺麗……というか、まだつるつるだったんやね……?」
「……っ、いちいち感想言わなくていいから……っっ」
「えええ、こんな綺麗な○×△□は見たことないとホメとるのに……」
「……だから、直球過ぎんのよ……っっ、というか、そんな比べるほど見たことあんの……?!」
 というか、たぶんその方がわたしが余計に恥ずかしがると思って言ってるんだろうけど……。
「ベツに無いけど、でもこれから先に機会があっても覆らんやろうから」
「……っっ、も、もう……っっ」
 そんな歯の浮くような言葉で、ただでさえ火が点いている顔に燃料が大量に投下された感じだけど、同時にそこまで気に入ってくれたのなら……みたいな気持ちも片隅には芽生えていたりして。
(というか、ホントに遠慮なしなんだから……)
 ただ、結局はこうなってしまうのね……というか、いずれ遅かれ早かれの問題だったのだろうけど。
「…………」
 ……ただ、この心臓が握りつぶされる様な昂ぶりは、今まで散々焦らしてきた代償であり、また同時に時間をかけて千歳に心を解されてきたからこそ、敗北感とかそういうネガティブな気持ちだけじゃないのかもしれないけれど、ただこのタイミングで見せる羽目になったのは困ったコトが一つあって。
「んじゃ、そろそろ”中”も見せてもらうな……?」
「……っ、ちょっとま……んぁっ?!」
 それから、しばらく黙って受け入れていたものの、とうとうヘンタイ魔女が指で押し広げて奥まで見ようとしてきたのに反応して抵抗するわたし。
 この期に及んで何をと言われそうだけど、いま中まで見られたら……。
「うわ、綺麗な色……けど……」
「…………」
「……な、風音ちゃん……?」
 すると、案の定千歳は一旦言葉が止まった後で、ぼそりとわたしの名を呟き……。
「あ、あによ……!?」
「ふふ、何だかんだでカラダはすっかりその気になってたんやねぇ?」
「ぁぅ……っっ」
 わざわざ言って欲しくなかったセリフをそのまま言葉にされ、さらに追い討ちをかける様に少しだけ差し込んできた千歳の指先からくちゅっとイヤらしい音が響く。
「お尻の穴を掻き回されてこんなにして……風音ちゃんかてうちのコト言えないんよなぁ?」
「ぐ……っ、わ、悪かったわね……ぇっ」
 本当なら、ここで調子に乗って言葉責めを続けてくるヘンタイ魔女に蹴りの一つも入れて見るのをやめさせるトコなのに、今はただ手足を震わせつつ恥ずかしさに耐えるだけで動けない。
 ……というか、認めたくないけどそうやって羞恥心を煽られながらも、下腹部がじんじんと疼いてくる様になってきてるし……。
「…………」
「けど、やっぱりそれだけ感じてくれてるのはうちも幸せやよ?……それに、風音ちゃんの匂いも溢れてきてるし……なぁ、こっちも舐りまわしてええ……?」
「だ、ダメに決まってんでしょ……?!と言っても、聞き分ける気は無いんだろうから……」
「そら、後生やんなぁ。心残りが増えそうやし」
「……もー、分かったわよ……こうなったら好きになさいよと言いたいけど……」
 それから、もう自然の流れというか、千歳からの見るだけという約束をあっさり反故にする要求を向けられ、わたしも断りきれず軽い溜息交じりに渋々了承の言葉を返してやった後で……。
「けど?」
「えっと……その前に、シャワー浴びとかない?」
「風音ちゃん……も〜、帰らなきゃあかんくなった直前にかわいすぎるやん」
 視線を外しつつぼそりと提案すると、千歳は満面の、というより嬉し泣きしかけている様な笑みを浮かべて見上げてきた。
「うるさいわね、わたしはいつでもカワイイのよ……アンタの前ではね」
「もぉ……ホント罪深いコやんなぁ」
「その言葉、そっくり返すわよ……ヘンタイ魔女さん」
(帰らなきゃならなくなった直前に、か……)
 ……だからこそ、わたしも後で寂しくなりそうだから踏み込み過ぎるのは避けたかかったのに、こうなったら逆にもう気が済むまで付き合うしかなさそうである。

 そして……。

「こっ、こら千歳ったら……っっ、もうちょっとガマ……んぁっ!?」
「いや、もうこれ以上のおあずけはムリやし……!」
 順番は前後してしまったものの、それから千歳の思い残しの一つを叶えてあげるついでにお風呂場へ向かい、脱衣所で食い気味に見つめてくる視線にも敢えて何も言わず、改めてまずは身体を清めようとなったものの、わたしはいきなり背中を流すという約束を反故にしたヘンタイ魔女にボディーソープを馴染ませた泡だらけの手で背後から胸を鷲掴みにされていた。
「だ、だいたい、なんでいきなり素手で……あ、ちょっ……!」
 最初に背中を流してくれるというからスポンジを渡したのに、あっさり放り投げやがったわね……っっ。
「んん〜、風音ちゃんのナマ乳……こんな日が来るのを夢にまで見とったから鼻血出そうやわ」
「く……っ、本性表わすの早すぎぃっていうか、先にちゃんと洗いなさいよ……っっ」
「けど、やっぱひとの身体やし、デリケートな部分は指で優しく念入りに綺麗にしといたげんと。……ほら、ココとか特に敏感やんな?」
「〜〜〜〜っっ!!」
 しかも、千歳は悪びれずにもっともらしい言い分を続けつつ、やがて繊細でヌルヌルとした指先が胸の先端へ伸びて軽く摘ままれるや、今まで味わったことのない刺激に背中がビクンと仰け反ってしまう。
(だめ、いきなりこれは……ぁっ)
「ほぉら、こんなに感度ええんやから、スポンジで乱暴に擦るわけにはいかんよなぁ?ん〜?」
「や……!……はぁ……っっ、あ……っっ」
 さらに、続けてカリカリと指先で左右同時に優しく掻き回されて、全身を震わせながら抵抗する力を奪われてしまいそうになるわたし。
「んっっ、だからって……らめ……そんなの……っっ」
 やだ……これ……。
「だめ?全然気持ちよくないん?」
「っっ、そこまでは言わない、けど……んひっ!!」
 気持ちよくないどころか、今度は指先で軽く押し潰しながらこねくり回されて、足がガクガクと震えて下腹部もじんと熱くなるのを感じつつ、恥ずかしさと未知だった刺激をもっと受けたい気持ちが交錯してくる。
「やぁっ、らめ……!いひっ……ぁ……っっ」
(千歳に弄られて……乳首……こんなに気持ちいい……なんて……)
 それは、悔しさも感じつつ、でもそれが余計に今まで保ってきた理性を崩されている様でもあって。
「あは、いー声で鳴いてくれるなぁ。……それだけで、うちもアツくなってきとるんよ?」
「…………っっ」
 そして、 そう言ってヘンタイ魔女が背中越しに胸を押し付けてくると、自分のよりも遥かにボリュームのある柔らかい感触と、その先の弾力のある小さな突起が擽る様に当たってくるや、背筋にぞくっとした感覚が迸る。
 ……それは勿論、不快感などではなくて。
(……っっ、そっか……はじめて千歳と裸で絡み合ってるんだ……わたし……)
 ただ弄られてるだけじゃなく、肌を重ね合わせてるという実感が増幅されて、何故だか胸の昂ぶりが更に強くなってしまう。
「ど?背中越しでも伝わるかな……?うちの胸のときめきが」
「う、うん……」
 それは、まるで……。
「んふふ〜、まるでこれから一つに融合しようとしてるみたいよな?」
「……だ、だからなんでいちいち口に出してくるのよ……っっ」
 共有する感覚としては否定は出来ないとしても、言葉だけでも凄くくすぐったいんですけど。
「だってなー、どうせなら、風音ちゃんの恥ずかしがるトコをもっと見たいなって」
 すると、耳元で囁いてくるヘンタイ魔女の吐息を分ける様に顔を背けたわたしへ、千歳は構わず今度は胸を弄っていた手を全身へ這わせつつ、剥き出しになった首筋へ口づけして告げてくる。
「っっ、ヘンタイ……っっ!」
「……もう聞き慣れたわ、そのセリフ。今はむしろ心地ええくらい?」
「ううう……」
 ダメだ、今のカクゴが決まりきった千歳には太刀打ちできそうもない。
 このままじゃ、完全に為すがままにされてしまいそうだけど……。
「それで、風音ちゃんはそんなヘンタイなうちは嫌いやった?」
「あぅっ、それは……ん……っっ」
 まぁ本気で嫌いだったなら、今みたいな状況にはなっていないワケですが。
「……なぁ、遠慮せんと今日ばかりは全部解放してくれてええんよ?もしかしたら、これが最後の機会になるかもしないんやから」
「はぁ……っ、はぁ……っっ、ウソつき……」
 それでも、これが最初で最後ってのは信用するつもりもないんだけど。
(でも……もう、いいのかな……?)
 こうやって千歳に包まれながら全身を触れられているのも悪い気はしていないし、なんだか意地を張り続けるのも疲れてきてる心地だし、何より……。
「ん〜、風音ちゃんに嘘つき言われたら言い返せない身なんやけど、今日のうちは何一つ冗談なんか言うてないから」
「………っっ、もう、なんなのよ、さっきから……」
「ふふ、実はもう一つ、風音ちゃんにこうやってぎょうさん想いを囁ける機会も欲しかったんよね」
「…………」
 その口火が、わたしの……を見せろと土下座だなんて。
(まったく……)
「やせから……」
「……ねぇ千歳、ちょっと一旦放してくれる……?」
 そこで、何やら吹っ切れた心地になったわたしは、敢えてつれない口ぶりで促し……。
「え……?う、うん……」
 返事に動揺を残した後で、躊躇いがちに抱きしめる手を離された後で振り返ると、千歳が不安げな表情を浮かべているのを見て噴き出しそうにもなりつつ……。
(……ま、いいでしょう)
 どうせ、今日のコトはこれから二人だけの秘密になるのだから。
「あ……風音ちゃん……?」
 わたしは笑みを見せてやると、自ら千歳の手を取り引き寄せる様にして身体を絡ませ合い……。
「……いいよ……もっと気持ちよく……して……」
「…………っっ」
 精一杯の短い言葉を告げた後で、少しだけ背伸びしてわたしの方から唇を重ね合わせてやった。
「んぅ……っっ」
「…………」
 それから、いつしか千歳が伸ばしてきた舌を受け入れ、自然と絡ませ合っての長い長い口づけが続く中、固定したシャワー口からのお湯を浴びつつ不思議なまでの心地よさを感じるわたし。
(身も心も、か……)
 千歳と違って自分はなかなか言葉にしてあげられなさそうだけど、好きと思える人とこうして身体を重ねたり触れられたりするのは、こんなに心地いいものなのかと。
(こんなことなら、もっと早めに素直になってあげれば良かったのかな……?)
 いやでも、今までの積み重ねがあったからこその気もしないでもないし……。
「…………」
「……んっ、ぷは……風音ちゃん……ごめんなぁ……」
「はぁ、はぁ……え、なんで急に謝るのよ……?」
 ともあれ、このまま雰囲気に流されて千歳に委ねるつもりだったのわたしに対して、やがて唇を離したヘンタイ魔女さんからまさかの謝罪の言葉が出てきて面食らってしまう。
「いや、考えたら風音ちゃんとキスしたのこれが二度目やけど、どっちも風音ちゃんの方からしてもろうてたのを思い出したから……」
「あー……」
 それはそれで、改めて言われれば何だかわたしの方も恥ずかしくなってくる心地だけど。
「……ま、アンタはそういう奴だし、そういうトコも嫌いじゃないから」
「ありがと。……けど、そのぶんここから挽回してみせるからなぁ?」
「…………っっ」
 しかし、こちらのフォローもそこそこにすぐに気を取り直したヘンタイ魔女はそう告げて、泡が洗い流されたわたしの下腹部の先へ中指の先を這わせてくると、びくんっと震わせるほどの刺激と同時にくちゅっという音が響いた、気がした。
「や……ぁっ、ちとせいきなり……っ」
「ふふ、”ココ”はずっとおあずけ状態になっとったし、そろそろええよな……?」
「う、うん……でも、優しくしなさいよね……?」
「当然やよな。だって……今日だけかもしれないけど、うちのモノなんやから」
 もう、身体もすっかりと受け入れ態勢になっているので拒むつもりは毛頭ないとして、一応は不安もあるので念を押すわたしに、ヘンタイ魔女はどこか寂しそうにそう返すと、入り口を上下させていた指先を少しだけ挿入して軽くかき回してくる。
「…………っっ」
「指一本だけでもキツいなぁ……ほら、もっと力抜いてええんよ?」
「そ、そう言われたって……んんあ……っ!」
 はじめての経験でそんなに器用じゃない、と言いかけたところで、千歳は先ほど弄り回していた左胸の先へ舌を伸ばして這わせてきた。
「あ……ぁ……!ふぁぁぁ……!!」
 なにこれ、やばい……。
 ……語彙もヤバいかもしれないけど、うねうねと別の生き物みたいな舌遣いで絡みまわされながら割れ目も同時に弄られるのは、単純に倍どころじゃ済まない刺激であって。
「…………っっ」
 あ……これ……ダメ……。
 駄目じゃないけど、ダメだ……だって……。
「ん……キモチ、ええ……?」
「ん……っ、ぁ……っっ、うん……」
 それから、ヘンタイ魔女から答えの分かりきってるコトを聞かれ、本当は強がるトコなのに素直に頷いてしまうわたし。
「ありがとな……風音ちゃん……うちを受け入れてくれて……」
「はぁ……はぁ……っっ、もう、ヘンタイの癖に豆腐メンタルなんだからぁ……っ」
 ただ、それでも既に心に火は点いているみたいで、愛撫の手は止まらないのだけど。
「んんっ……はぁ、はぁ……ふぁ……っ!」
「やぁ……っ、そんなに……舐めた……らぁ……っ」
「んふ……もうこんなに硬くさせて……なぁ、風音ちゃんって左と右のどっちが感じる方?」
「しっ、知らないわよ……!んぁぁ……!」
 ……と、直接確かめてみようと言わんばかりに今度は右胸へ舌先を移動させてきたものの、確かに感覚は少しだけ違う気はするとして、どっちがなんて言われても答えられない。
「はぁ……はぁ……っっ」
「ふふ、月並みやけど、どっちも……ってコトになるんかなぁ?ホントかわいいんやから」
「……っ、あ、後で覚えてなさいよ……!」
 やっぱり、このままヤラれっぱなしなのはムカついてきた。
 ……けど。
「…………っっ」
(あぅ……やば……このままじゃ……)
 激しめの舌遣いと合わせてソフトタッチで続けられる繊細な指での愛撫が休むことなく続けられ、次第に小刻みに擦られ続ける下腹部の方がじんじんと疼いてきていて、心のくす球が弾けてしまいそうになっていたりして。
「ふふ、風音ちゃん、うちで感じてくれて嬉しい……んっ」
「ま、まぁそれは否定しないであげるけど……ねぇ……千歳のうちに泊まった夜にもしも邪魔が入らなかったら、あの時にこうなってたのかな……?」
「……でも、あの時じゃこんなに感じてくれなかった思う。同じ心残りを無くすためと言ってもな」
「そだね……っ、んぁ……っ」
 ぶっちゃけ、あの時と今で千歳への想いはそれほど変化はしていないとしても、自棄っぱちだったあの時と比べれば、今回はご褒美みたいなものかもしれない。
 ……けど。
「はぁ……はぁ……ちとせ……わたし……」
「ふふ……もうそろそろいきそ?」
「あぅ……っ、あの……せめて顔は見ないで……んぅっ?!」
 やがて、両腿がガクガクと震え始めていよいよという頃合いになり、このまま身を委ねてもいいけど、ヘンタイ魔女に顔を見られたままは恥ずかしすぎるとわたしが顔を背けようとしたところで、不意に顔を上げてきた千歳に唇を塞がれてしまい……。
「…………っっ」
(ちょっ、ダメ、こんなの……!)
 そのまま、片方の手は乳首を軽く摘まむ様にして転がしつつ、利き手の方はラストスパートとばかりに秘所を弄る指を二本に増やして掻き回してくるや……。
「〜〜〜〜っっ」
 程なくして、わたしは千歳に唇をふさがれたまま、一瞬頭が真っ白になりつつ絶頂に達してしまった。
「ぷはぁ……っ、はぁ……はぁ……もう……っ」
「ふふ、これやってみたかったんよ?……ようやくうちからキスしてあげられたし、どうやった?」
「……しらない……」
 いやまぁ、快感が一気に駆けめぐって来た感じで決して悪い心地じゃなかったけれど、なんていうか完全に相手のモノにされてしまった屈服感みたいなのもあって、いささかフクザツな気持ちもあったりして。
「も〜、つれへんなぁ……ここでとろんとした目でも見せて今度は自分からせがむ様になってくれると思うとったのに……」
「都合のいいコトばかり言ってんじゃないわよ……って、んぁ……っ、ちょっ、もうイジらないで……」
「ふーん……やっぱり、この程度じゃまだまだオトせたとは言えへんみたいやね?」
 しかし、強がってみせるわたしにヘンタイ魔女はアソコを弄る指を止めないままニヤニヤとそう告げるや、急にしゃがみ込んできたかと思うと……。
「え……?あ、こら……!!」
 そのまま下腹部の方まで到達するや太股を挟み込むように顔を埋めて、指で弄られ続けてすっかりと敏感になっていた秘所へ舌を這わせてきた。
「〜〜〜〜っっ」
 途端、千歳の柔らかくてぬめりを帯びた舌が割れ目に食い込み、鳥肌の立ちそうな初めての刺激が背筋を駆け上がってくる。
「んふふふ、風音ちゃんのお○△□×……おいし……」
「ちょっ、ダメ……!すこしやすませ……やぁぁ……っっ!!」
 そこで思わず相手の頭を押さえて一旦引き剥がそうとはしたものの、ヘンタイ魔女は構わず一心不乱に激しい舌遣いを続けてゆく。
「はぁ、はぁぁ……っ、そんなにはげし……ふぁぁ……っっ!」
 ただでさえ敏感になっているというのに、容赦も遠慮も無しにめり込ませた舌先で掻き回されたら……。
「……ってそこらめ……っっ!!」
「あ、あああああ………ぁ……!」
 またあっという間にイカされてしまいそう……とか考える間もなく、千歳に不意打ちで一番敏感な突起を吸い付かれ、わたしはスイッチを入れられた様に嬌声をあげさせられてしまった。
「んふ……っ、今度はいー声で鳴いてくれたなぁ?ふふふ……」
「ちょっ、千歳っ、もうダメだって……だから……ぁっっ!!」
 しかし、ヘンタイ魔女の愛撫はこれで終わらず、してやったりの目でこちらをチラリと見上げた後で、わたしの反応を待つまでもなく再び太腿の間へ顔を埋め、そのまま続行してきたりして。
「ひっ、いぎ……!ちょっ、らめっ、そこらめらからぁ……っっ」
 ……しかも、今度はクリトリスを舌先で執拗に押し潰す様にして転がして、それこそわたしの心臓でも止める気かという、さながら拷問の様な攻めを続けてくる千歳。
(も、もうなんなのなんなの……っっ!)
 立ったままがっちりと固定されてとても逃げられない態勢のまま、困惑を覚えつつもたたただ受け止めるしかない中で、遠慮も容赦もない千歳の舌遣いに再び足がガクガクと震えて来るや……。
「はぁっ、はぁぁ……っっ」
「……っ!だめ……わたしまた……ぁぁぁぁぁぁ………っっ!!」
 それから、再び絶頂させられるまでに時間はかからなかった。

「……って、もーアンタは……やることが極端すぎぃ……」
「んふっ、ゴメンなぁ……ついつい嬉しゅうて調子に乗ってもうたわぁ」
 やがて、4回目の絶頂を迎えさせられてようやく魔女の拘束から解放され、もう怒る気力も無しでぐったりと壁に背中を預けたままぼやくわたしへ、千歳は口元から粘液を滴らせつつ、勝ち誇るというよりも言葉通りに幸せそうな顔を見せてくる。
「はー……」
 っていうか、確かお風呂場へは本番に向けて身体を清めに来たはずなのに、なんかもうトドメを刺されてしまった気分なんですけど。
「んじゃ、そろそろ部屋に戻ろっか?」
「……まだヤるつもりなの?どんだけ底なし……」
(いや……)
 それでも、こっちはもう精魂尽きかけているというのに、ヘンタイ魔女からはしれっと続行を求められ、さすがにウンザリ気味の言葉を返しかけたところで言葉が止まるわたし。
(……このまま終わるのも一方通行過ぎるわよね?お互いに)
 一応、千歳の元々の要求はこれで満たしてやったハズなので、このまま二人でお風呂に浸かって終了でもいいんだけど、何だかそれで締めてしまうのもスッキリとしない。
「風音ちゃん?」
「……まぁそーね、こうなったからにはトコトン付き合ってあげるわよ」
 という事で、少しだけ息を整える間を置いた後でわたしは同意してやると、もう一度シャワーを捻って軽く身体を洗い流していき……。

「……え、ち、ちょっと風音ちゃん……?」
「んー、お風呂場で散々好き勝手されたんだし、そろそろこちらのターンかなって」
 やがて、お互いにバスタオル一枚で自室まで戻ってくるや、お風呂場を出た時から決めていた通り、背後から不意を突いて千歳をベッドの上へ強引にうつ伏せにさせたわたしは、想定外の展開に驚くヘンタイ魔女さんへ攻守交替を告げてやった。
「風音ちゃんのターン、って……」
「ホントは、千歳だってして欲しかったんでしょ?……だから、さっきのしかえお礼を兼ねて付き合ってあげる」
 我ながら面倒くさい性分だなって自覚はあるものの、でもやっぱり千歳とはこういうカンケイでいたいし。
「そ、そうやけど……今、物騒なホンネがチラつかんかった……?」
「気のせいでしょ。ほら、お尻を上げなさいよ」
 ともあれ、喜びよりも困惑するヘンタイ魔女の言葉をあっさりスルーすると、バスタオルを外して一糸纏わぬ姿にした後で促すわたし。
「お、お尻て……」
「最初は、その嫌みったらしいくらいのおっぱいでもイジメ返してやるつもりだったんだけど、階段上がってる間に千歳の大きなお尻がフリフリしてるのが見えて、攻めるならそっちかなって……」
 大きいだけじゃなく、適度に肉付きも良くて肌も真っ白で綺麗だし、柔らかくて手触りも抜群。
「……っ、ぁ……っ、風音ちゃ……」
 ……それに、ちょっと触れただけでピクピクと震わせて感度が高いのも見て取れるし、これは……。
「…………」

 パァンッ

「ひゃいっ……?!か、風音ちゃんん……っっ?!」
 それから、途端にムラムラと湧き出た欲望の赴くまま、わたしは新雪を穢す様に千歳の真っ白なお尻の丘に赤い手形を付けてやっていた。
「あははごめん、あまりに叩きがいのありそうなお尻だったから……」
 何だかいい音も聞こえてきたし。
「も〜〜、風音ちゃんってこっちのケもあったん?」
「いや、今まで自覚したコトは無かったけど、今までの鬱憤が溜ってたのかも……?」
 実際、無性に胸のすく気分だし、仕返ししてやりたいキモチとのコラボで芽生えた衝動とでもいいますか。
「鬱憤って、うちそんなコト……沢山しとるなぁ……」
「してるわよねぇ?……ついさっきもやめてと言っても止めてくれなかったし」
 それを思い出したら、またちょっとばかりムカついてきたわたしは……。
「あ、あれは、セオリー的に……」
「言い訳無用……!」

 パシンッッ

「…………っっ!!」
 今度はもう片方のお尻へ再びいい音を響かせて引っぱたいてやると、ヘンタイ魔女は背筋を仰け反らせてイイ反応を見せてきた。
「……うわぁ、これ思ったより楽しいかも……?」
 更に気分がすっとしたのもあるけれど、千歳の反応を見ているとゾクゾクとする快感が背筋に走ってきて、何やら癖になってしまいそうな感触。
「も、もうっ、風音ちゃんも結構ヘンタイさんやんなぁ……」
「たぶん、誰かさんに感化されたんでしょ……それに……」
 しかも、こういう趣向は一方通行じゃままならないものだろうけど。
「それに?」
「千歳も、案外まんざらでもなさそうじゃないの。ほぉら?」
 二度目を叩いた後で、千歳の太腿の内側から分泌した雫が滴ってきているのを見逃さず、指先で掬って見せつけてやるわたし。
「そ、それは……」
「んー、それは何だってのよ?」

 パチンッ

「ひぁぁ……っっ!」
(ったく……)
 これじゃ、そっちのケがあったん?はわたしのセリフだろう。
「すご……こんなに溢れて……ね、今後はヘンタイからインラン魔女とでも改名してあげましょうか?」
 ともあれ、指先を伸ばして滴る先へ触れてやると、柔らかくも生暖かい感触と共にくちゅくちゅとイヤらしい音が聞こえてくる。
(うわぁ、これうわぁ……)
 指先から千歳の匂いも漂ってきて、これは……エロい。
「んぁ……っ、風音ちゃんだけに言われるならええけど……」
「わたしにはいいんだ……って、やっぱりMっ気があるんじゃないのよ!」

 パシンッッ

 その癖に、よくもまぁ今まで散々攻めまくってくれてたものだけど。
「っっ、だって、風音ちゃんにやったら、何でもしてあげたいしされたいものやん?」
「……っっ、ああもう、スキあらば口説いてくるんだから、って……」
 いやまぁ、確かにそういうものか。
 わたしだって、千歳が相手だから受け入れたんだろうし、これからしようとしているコトも……。
「…………」
 それから、わたしは何となくこのタイミングで自分の羽織っていたバスタオルを脱ぎ捨てて裸になると、千歳の臀部に顔を近づけて恐る恐るその先に見える綺麗な花弁を指で押し広げてみる。
「あ……風音ちゃん……」
「……うわぁ、これが千歳の……えろ……」
 他人の性器を見たのはこれが初めてだけど、千歳のは綺麗なサーモンピンク色をしていて、少しだけむわっとした磯の香りと涎の様に雫を垂らせているのがあまりに淫猥な光景で、心臓が高鳴りつつ思わず生唾を飲み込んでしまうわたし。
「あの、やっぱすごく恥ずかしいからあまり見んといて……」
「さっきはわたしのを穴が開きそうなくらいに見てた人が、一体どのクチで言うのやら、だけど」
 いやでも、今ならちょっと気持ちが分かるかもしれない、かな。
「だって、風音ちゃんのつるつる○×△□もほんま可愛かったから……」
「もう、いちいち感想言わなくていいっての……」
 こうなったら、とっとと口を塞いでしまうしかないか。
 まぁ、塞ぐのは下のお口なんだけど、って罪悪感まみれのオヤジギャグはおいといて。
「…………」
 まずは、右の中指を少しばかり挿入してみると、抵抗なのかはたまた逃がすまいと食いついているのか、柔らかい感触がきゅっと締め上げてきた。
(おおお……!)
「んぁ……っ!はぁ……っっ」
 同時に千歳の背中も再び大きく仰け反り、やっぱり相当強い刺激を受けているのが分かる。
「……あ、ごめん、痛かった……?」
「う、ううん……うちも触られたこと無かったから……なぁそれより、続けてくれる……?」
 そこで、思わず一旦手を止めて訊ねるわたしに、千歳はやせ我慢と言うよりはおねだりするな甘い声で首を振りつつ続行を訴えた。
「そ、そう……?んじゃ……」
「あん……っっ!風音ちゃんの指が……はぁぁ……っっ」
 だったら、わたしも遠慮なくということで、指先を少し曲げたり伸ばしたりしつつかき回すと、千歳から甘い喘ぎ声が漏れてくる。
「ぁ……はぁ……っ、んく……っっ」
「…………」
 どうやら、千歳は押し殺して大声にはならない様に努めているみたいだけど、しかしわたしにとっては煽られている様なもので。
「……っっ!ぁ……っ、かざね……んぅ……!」
 そろそろ慣れてきたのもあり、膣内を弄る指をもう一本増やすと、さっきよりも我慢しきれないといった声を聞かせてくれる千歳。
(もうちょっと、かな……?)
 ただ、広げて奥まで見てやった時に千歳もまだバージンだったのは確認したので、これ以上掻き回す指を激しくさせるのはちょっと気が引けてくる。
 ……まぁ、おそらく千歳がまだ未経験のわたしのを弄っていた時も、それですぐに指から舌に変えたのだろうけれど。
(んじゃ、やっぱりわたしもそうすべき……?)
 いや、ここですんなりとそんな気分になってしまっているのもちょっと戸惑いとして。
「ん……っ、はぁ……はぁ……風音ちゃん……あんな……よかったらでええんやけど……」
「……はいはい、皆まで言わなくていーわよ。千歳もわたしの舌でして欲しいんでしょ?」
 すると、やがて抑え目に弄っているうちに、荒い息を吐きながら千歳が遠慮がちに何かを促そうとしてきたのを受けて、苦笑い気味に頷いてやるわたし。
 ……やっぱり、千歳もわたしがちゃんと最後まで上りつめさせてあげたい。
「え、ええの……?イヤやない……?」
「今のわたしにそんなキモチがあるわけないでしょ?むしろ、わたしもそろそろさっきの仕返しをしてやりたいし……」
(ん……?)
 しかし、そう言って一旦指を引き抜こうとしたところで、その上に見える菊のお花の如く綺麗に整った窪みに視線がゆくわたし。
 それは、上品な形ながらもヒクヒクともの欲しそうに蠢かせていて、まるで……。
「……風音ちゃん……?」
「やっぱり、”こっち”にしようかな……?」
「……っっ、ちょっ、そこは……ひっっ!」
 わたしは釣られるようにして、最も見られて恥ずかしい部分の前でそう告げた後で、まずはふっと息を吹きかけてやると、千歳は敏感に反応してプルプルと臀部を震わせてくる。
 ……どうやら、こちらも相当に感度がいいみたいである、となれば。
「アンタだって最初に散々舐りまわしてくれたじゃない?……だから、お返し」
「い、いや、さすがにそこまではしてくれへんでも……んひぃっ?!」
 わたしは躊躇うことなくそう告げるや、秘所を弄る手を止めないままヘンタイ魔女の桃尻の頬へ口づけした後で、その谷間の奥にある、言葉とは裏腹に物欲しそうにヒク付かせた窪みへ舌先を触れさせてやると、千歳のお尻から背中が電気でも走ったかの様に小さく跳ねた。
(あいた……でも、ここまでなるんだ……?)
 そこで、跳ねたお尻の頬が鼻先にぶつかってちょっと痛かったものの、むしろここまで敏感ならばと、わたしは更に皺をなぞるようにして舐り回してやることに。
「ちょっ、かざねちゃ……あひ……っ、そこはぁぁぁ……」
「んー……っ」
 一応、お風呂でちゃんと清めてきたのもあってイヤな味もしないし、刺激に堪えるのが精一杯というヘンタイ魔女の反応が楽しくて、むしろどんどん舌が進んでしまうわたし。
「はぁ……っ、はぁぁ……っ、かざねちゃ……そんなに……ぃっ」
「…………」
「やぁ……っ、ぁ……っ、はげし……ひぃ……っっ」
「……れも、気持ちいいんでしょ?ん……っ」
「そやけど……でも風音ちゃんにここまでしてもらえるなんて……」
「…………」
 そう。
 いくら相手がどんな美人さんだろうが、確かにここまでするのはふつーは抵抗感を覚えるハズである。
(やれやれ、やっぱりわたしの負け……なのかな?)
 まぁ今更どうでもよくなってきているし、おそらく千歳も負けたと思っているだろうから、ダブルKOってところなんだろうけれど。
「やぁ……っ、風音ちゃん、ちょっと手加減して……でないと……」
 ともあれ、そんなコトを考えつつ、親愛なるヘンタイ魔女さんをもっと気持ちよくしてあげたい一心で続けるうちに、千歳は腰に力が入らなくなった様子で太股を震わせて訴えてくる。
「ふーん、つまりもっと激しくシテほしいって……?」
「いや、後生やから……うち、もう……っ」
「あっ、あっ、あひ……っっ、うち、うち……っっ」
 確かにもうホントに寸前まで来ているのは分かるし、こんなに早く絶頂してしまう羞恥でイヤイヤ抵抗しているのも理解できる。
 ……つまり、さっきお風呂での立場がそっくり逆転してしまっている状態なワケで。
(べつに、我慢なんてしなくていいのよ?わたしもする気はないんだし)
 そこで、わたしはむしろトドメとばかり、指先でくっきりと顔を出してくきた一番敏感な肉芽を押し込むと同時に、舌先を思い切って窪みの中へ少しだけねじ込んでやると……。
「〜〜〜〜ッッ!!あ、ぁぁぁぁぁ……」
「……はぁ……はぁ……っ、はぁぁ……っ」
 言葉にならない嬌声と一際大きな身体の震えが走った後に、千歳は絶頂に達してしまった。
「ふー……なんだ、千歳も結構よわよわじゃない?まぁカワイイけど」
「うう……」
 それを見て、一定の溜飲も下りてワザとニヤニヤしながら感想を囁いてやると、頬を染めながらしおらしく視線を逸らす千歳。
「…………」
 そして、最初はしてやったりだったのが、そんなヘンタイ魔女が無性に愛おしくも感じてしまったりもして……。
(なるほど、わたしの時も強引に続けたのは……)
「けど、これで終わりじゃないからね?まだまだ、さっきの借りは……」
「待って……風音ちゃん、今度は一緒に……な?」
 というコトで、わたしはすぐに第2ラウンドへと持ち込もうとしたものの、千歳はそれを一旦拒む様に身体をよじって仰向けになると、両手を広げて訴えてきた。
「……うん」
 もちろん、こちらもそれを拒む理由なんてなくて、自然と浮かんだ笑みと共にその手を取り、わたし達は自然と重なり合ってゆく。
 そして……。

「んふ……ん……っっ」
「……ふはぁ……っ、はぁ、はぁ……ひとせ……」
 それから、わたし達は長い長い口付けで舌を絡ませつつ、互いに全身を愛撫し合ったり……。

「あ……はぁぁ……そこ、気持ちええよ……あひ……ぃっ」
「んんっ、千歳の……こんなに溢れて……って、ちょっそこを直接舐めたりしたら……!」
「風音ちゃんこそ……もううちの口はべとべとやよ……?」
「…………っっ」
 やがて、いわゆる69の態勢でお互いの秘所を競い合う様に舐めあっていたり……。

「ちょっ、これは恥ずかしすぎだから……!」
「……でも、せっかくだから試してみたいやん?」
「い、いやでも……んぁ……っ、やっぱりヘンな感じぃ……」
「ん……っ、コレな、楽しめるのはホントに身体の相性のいい証拠なんやって……でも、うちと風音ちゃんのってなかなか……」
「ちょっ、そんなに動かしたら敏感なトコが擦れて……やぁん……っっ」
 挙句には、ヘンタイ魔女のお願いで足を挟ませ合って互いの花弁を擦り合わせたりもして、欲望の赴くがままに求め合っていた。
(……けど、やっぱりこれはちょっと……)
 指や舌で直接弄るよりも刺激は微弱なのに、心臓はバクバクと昂ぶりっ放し。
 やっぱり、よりレズセっぽくなってきたからだろうか。

「……な、なぁ、このままうちらが同時にってイケるかな……?」
「そ、そんな器用じゃ、ねぇわよ……っっ、ふぁ……っ」
 そして、最初はもどかしさすら感じた感触も、続けるほどに互いの分泌した愛液が混ざり合ってより潤滑に刺激が伝わるようになり、やがては大きな波となっていった後で……。
「大丈夫、うちが合わせるから……そしたら、風音ちゃんはうちのものやからね……?」
「か、勝手に決めてんじゃないわよ……!って、ダメ、ほんとにもう……やぁぁぁ……っっ」
「…………っっ」
 程なくして、わたし達は感情をシンクロさせつつ、同時に上り詰めてしまっていた――。

「……はー、疲れた……いやマジで……」
「あはは、ちょぉっと調子に乗ってしもうたなぁ?」
「いや、ちょっとの定義がバグってるから……」
 やがて、汗だくになりながらお互い気の済むまで貪り合った後で、再びお風呂場へ戻ったわたし達は二人で仲良く湯舟に浸かりながら苦笑いを浮かべていた。
 もうじき家族が帰ってくるはずなので、これ以上続きをやる時間は無いどころか、気力の方も残ってはいない状態。
「……なんか、こーいうコトやったら余計に未練が残りそうな予感がしてたけど、案外にすっきりしちゃったわね」
 ヘトヘトになってはいるんだけど、お腹一杯な満足感で満たされていて名残りも尽きた感じで。
「せやねぇ……」
「ともかくこれで、心置きなく還れそうかしら?」
「ふふ、確かに達成感はあるなぁ。土下座もしてみるもんやなって」
「ばか……」
 まぁ確かに、それくらいされなければこじ開けられなかった扉かもしれないけれど。
「……なぁ、それで……明日からも遊びに来てええ?」
「急に改まってあによ?だいたい、今日だってノーアポで来たくせに」
 それから、一旦会話が途切れた後で急にしおらしく訊ねてきたヘンタイ魔女さんに、苦笑いを返してやるわたし。
 まぁ遠慮なしに通ってくる代わりに、いつも手土産におやつを持ってきているところが、ちょっと小心者っぽさが出ていてカワイイんだけど。
「あはは、せやった。だからこそ、今日は玄関で夕方まで風音ちゃんと二人きりだと聞いて、咄嗟にこのチャンスしかあらへんと思い立ったんよなー」
「ったく……まぁ好きにすればいいけど、でも湿っぽいのは最後までナシだからね?」
 ただ、千歳の言葉の意図も分からないでもないので、少し照れ隠しも兼ねて肩を小さく竦めつつ素っ気無く応じるわたし。
 というか……。
「そういうのはうちも好きやないから、もちろんええよ。明日も明後日も美味しいおやつ持参するから、またお茶でも飲みながら他愛の無いお話しよな?」
「ん。……っていうかさ、とうとう一線越えたっていうのに、わたしの方は不思議なくらいに変化ナシっぽいのよねぇ」
 大体、こういうコトの後って暫く相手の顔が直視できないとか、ありそうなものなのに。
「あ、風音ちゃんもそうだったん?実はうちもそうなんやけど、正直に言うたら怒られるかなって……」
 すると、千歳も何やらほっとした様子で笑みを見せてくる。
 ……あんな、お互いに一番恥ずかしいトコを隅々どころか奥まで見せ合い、弄り回したり舐め合ったりもしたのに。
「別にオコったりはしないけど、でもうーんー……」
「ふふ、うちらのカンケイって一体なんなんやろなぁ?」
「とりあえず、恋愛よりも友情寄りなのかな……?」
 さっきまでの行為も、愛の営みというより悪友との悪ふざけ的な。
「もしくは、もう夫婦みたいなもんかも?」
「いや、夫婦もなんか違わなくない……?」
「んじゃ、姉妹とか?」
「いやいやいや、姉妹であんなディープなコトはやらんでしょーが」
 あ、でもあっちの世界の佳乃なら……?いやいや。
「だったら、風音と千歳というのは……」
「それ、深そうで実際は何も考えてないやつ……ん?」
 と、ツッコミ終えたところで、ふと棚に並んで置かれた佳乃愛用の、それぞれ猫とネズミの海外カートゥーンの絵柄が入ったシャンプーとリンスボトルが目に入るや、ピンと閃くわたし。
「……ああ、”アレ”だわ」
 佳乃が小さい頃から大のお気に入りだっただけじゃなく、うちの両親も子供の頃に夢中になっていたアニメで、その当事の放送時に入っていたらしい主題歌の歌詞に丁度ぴったりのフレーズがあった。
「ん、あのアニメの絵がどしたん?」
「ここじゃ言わない。知りたいなら、帰宅した後でググりなさいな」
 しかし、それから食いつく千歳に対して、素っ気無くそう告げるわたし。
「えー……いけずやわぁ」
「ふふっ♪」
 つまり……。
”仲良くケンカしな”、ってね。

終わり

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